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フランカー課題とは?選択的注意と認知制御のトレーニング【2026年版】
フランカー課題(エリクセンフランカー課題)の科学的背景、遊び方、認知効果を解説。1974年の心理学研究に基づく選択的注意テストを無料でプレイ。
フランカー課題とは
フランカー課題(Flanker Task)は、選択的注意と認知制御を測定する代表的な心理学実験です。画面中央にターゲット(矢印など)が表示され、その両側に「フランカー」と呼ばれる妨害刺激が配置されます。参加者は周囲のフランカーを無視して、中央のターゲットの方向を素早く判断する必要があります。
例えば「←←→←←」と表示された場合、正解は「右(→)」です。フランカーが左を指しているため、つい左と答えてしまいそうになりますが、中央の矢印だけに注目する必要があります。
科学的背景
エリクセン夫妻による発見
1974年、アメリカの心理学者バーバラ・A・エリクセン(Barbara A. Eriksen)とチャールズ・W・エリクセン(Charles W. Eriksen)は「Effects of Noise Letters upon the Identification of a Target Letter in a Nonsearch Task」という論文をPerception & Psychophysics誌に発表しました。
オリジナルの実験では、文字刺激が使用されました。参加者は特定の文字に対して左右の反応をするよう指示されました(例:HとKには右反応、SとCには左反応)。各試行では7つの文字が表示され、ターゲットは中央に配置されました。
- 一致条件の例: HHHKHHH(中央も周囲も同じ方向の反応)
- 不一致条件の例: HHHSHHH(中央と周囲で異なる方向の反応)
フランカー効果のメカニズム
フランカー効果は、不一致条件で反応時間が遅くなり、エラーが増加する現象です。これは「反応競合(response competition)」によって説明されます。周囲のフランカーが異なる反応を示唆するため、ターゲットへの正しい反応と競合が生じます。
注意制御の二段階モデル
エリクセンらは「空間選択的注意の二段階モデル」を提唱しました。第一段階では注意が広く分散し、フランカーの情報も処理されます。第二段階で注意がターゲットに絞り込まれ、干渉が抑制されます。このモデルは現在でも広く支持されています。
脳のメカニズム
神経科学研究により、フランカー課題には以下の脳領域が関与していることが分かっています:
- 前帯状皮質(ACC): 葛藤の検出とモニタリング
- 背外側前頭前皮質(DLPFC): 認知制御と注意の調整
- 頭頂皮質: 空間的注意の配分
- 一次運動野: 反応の選択と実行
特に前帯状皮質は、試行間での認知制御の調整に重要な役割を果たしています。ある試行で葛藤が大きいほど、次の試行での制御が強化されることが示されています。
測定される認知機能
選択的注意
関連する情報(ターゲット)に注意を向け、無関係な情報(フランカー)を無視する能力です。
干渉制御
妨害刺激からの干渉を抑制し、正確な反応を維持する能力。衝動性の制御に関連します。
葛藤モニタリング
相反する情報を検出し、認知的な葛藤を解決する能力です。
処理速度
視覚情報を素早く処理し、正確な運動反応に変換する能力です。
遊び方
ゲーム開始
「スタート」ボタンをクリックしてゲームを開始します。制限時間内にできるだけ多く正解することを目指します。
中央の矢印を確認
画面中央に5つの矢印が表示されます。中央の矢印(黄色でハイライト)の方向を素早く識別してください。
方向ボタンを押す
中央の矢印が指す方向のボタンをクリックするか、キーボードの矢印キーを使用します。
スコアを獲得
正解するとスコアが加算されます。連続正解でストリークボーナスも獲得できます。
ゲームモード
2方向モード(デフォルト)
左右の2方向のみを使用します。初心者や基本的なトレーニングに適しています。
4方向モード
上下左右の4方向を使用する難易度の高いモードです。より複雑な認知制御が必要になります。
ハイライトなしモード
中央の矢印のハイライトをオフにします。どれが中央かを自分で判断する必要があり、難易度が上がります。
スコアの目安
| スコア | レベル | 説明 |
|---|---|---|
| 20未満 | 初心者 | フランカー効果の影響を強く受けている |
| 20-29 | 中級者 | 選択的注意が発達している |
| 30-39 | 上級者 | 高い干渉制御能力を示す |
| 40以上 | 達人 | 優れた選択的注意と処理速度 |
フランカー効果の解釈
ゲーム終了時に表示される「フランカー効果」は、一致条件と不一致条件の反応時間の差を示しています。
- 10ms未満: 非常に効率的な干渉制御
- 10-30ms: 平均的なフランカー効果
- 30ms以上: フランカーの干渉を強く受けている
この差が小さいほど、妨害刺激に惑わされずに反応できていることを意味します。
コツと攻略法
-
中央に視線を固定する - 周囲の矢印を見ないように、画面中央に視点を固定します。周辺視野でフランカーを捉えると干渉を受けやすくなります。
-
リズムを意識する - 一定のリズムで回答することで、反応速度が安定します。焦りすぎると不一致条件でミスが増えます。
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2方向モードから始める - まず2方向モードで練習し、正答率が安定してから4方向モードに挑戦しましょう。
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キーボードを活用する - 矢印キーを使うと、ボタンクリックより素早く反応できます。
-
短いセッションを繰り返す - 集中力が切れる前に終わる短いセッション(15-30秒)を繰り返すと効果的です。
研究での活用
フランカー課題は様々な分野で活用されています:
発達心理学
- 子どもの認知制御能力の発達研究
- ADHDの診断・評価
- 加齢に伴う認知機能変化の研究
神経科学
- fMRIやEEGを用いた脳活動の研究
- 葛藤モニタリングの神経メカニズムの解明
- 認知制御ネットワークの研究
臨床心理学
- 注意障害の評価
- 認知リハビリテーションの効果測定
- 精神疾患における認知機能の研究
Dual N-Backとの組み合わせ
フランカー課題とDual N-Backは異なる認知機能にアプローチします。
| 特徴 | フランカー課題 | Dual N-Back |
|---|---|---|
| 主なターゲット | 選択的注意・干渉制御 | ワーキングメモリ |
| 認知的負荷 | 空間的干渉の抑制 | 情報の保持と更新 |
| 時間軸 | 瞬間的な判断 | 連続的な記憶(N回前) |
| セッション時間 | 15〜60秒 | 15〜20分 |
両方を組み合わせることで、実行機能の異なる側面を総合的に鍛えることができます。
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よくある質問
Q:
まとめ
フランカー課題は、1974年のエリクセン夫妻の研究以来、選択的注意と認知制御を測定する標準的な実験パラダイムとして広く使用されてきました。周囲の妨害刺激を無視して中央のターゲットに反応するというシンプルな課題ですが、私たちの注意制御システムの働きを明らかにしてくれます。
言語に依存しない視覚的な課題のため、年齢や言語を問わず取り組めます。ぜひフランカー効果を体験して、あなたの選択的注意能力をテストしてみてください。